茨城県のある公園で…
3時過ぎにやっと眠れたのに、目覚めたのは朝5時
神経が高ぶって、全然ゆっくり眠る事ができない。
体を起こすと、グラウンドで散歩している人がたくさんいて、いろんな人が話しかけてきてくれた。
柔らかい東北弁に、ものすごく優しそうな印象を受ける。
もう少し体を休める為、眠れなかったが、寝袋の上に体を横たわらせていた。
8時になると、グラウンドで少年野球の試合が始まり、
父母さん達が、僕の近くで子供の応援をしだした。
少しすると、1人のお父さん(推定50才位)が話しかけてきた。
若い頃に、自転車で旅をしてみたかったが、結局出来なかったらしく
1時間位かけて、色々な話しをしてくれる。
「苦しい時もあるかもしれないけど、頑張ってくれ、無事に北海道まで着けるように祈っているよ。」
おじさんは涙目で僕を応援し、励ましてくれた。
僕も、うれしくて目頭があつくなった。
10時 父母さん達に見送られ、一晩過ごした公園を発った。
(見知らぬおじさんとあんなに熱く語れるなんて、なんかうれしいなあ。
この先も色んな出会いがあるといいな。)
なんて考えていると
コインランドリーがあったので洗濯をする事に…。
コインランドリーなんか初めての僕は
何を思ったか、「くつ」を洗う洗濯機で服を洗ってしまった。
気付いた時には、コインランドリー内には、人は5人。
(しまった… ど恥ずかしい…。)
洗濯が終わり、くつ洗濯機から服を出すと
回りの人は皆、不思議そうな顔をしていたが
僕は、
「わざとだぜ」
みたいな顔で、服を乾燥機にかけた。
くつを洗う洗剤の匂いがして臭かった。
しかし
「旅の恥はかきすて」
気を取り直して最出発。
14時30分
今日の50キロ地点に、大きな国営の公園があったので、
(1時間ほど休憩していこう)
と思い、ベンチに横になった。
すると、突然、雨雲が空を覆い始め、物凄い大雨が降ってくる。
そこから2時間半、大雨は降り続いた。
携帯電話も、本も持っていなかった僕は、ひたすら全国地図をみながら
まだ果てしなく遠い、北海道へのルートを指で追った。
そうこうしている内に、国営公園の閉園時間の17時になってしまった。
一瞬雨が止んだ隙に、自転車を走らせたが、またすぐに雨は降ってくる…。
カッパが意味をなさない位の大雨が、また降り始め
急いで、近くにあった小さいガソリンスタンドで、雨宿りをさせてもらう事にした。
スタッフ皆、優しい方達ばかりで、笑顔でタオルを渡してくれる。
体を拭きながら、テレビから聞こえてくる天気予報の声に耳を傾けた。
(夜はずっと雨…か…。)
僕は、「野宿は無理」と判断し、タオルを渡してくれた小柄なスタッフさんに、
「この辺に宿泊施設は無いでしょうか?」
と聞いてみた。
すると、電話帳を開け、真剣に捜してくれる。
5ヶ所ほどめぼしい所を見つけ、1つずつ電話して料金を聞いてくれた。
1番近くて安い、素泊まりで3000円の宿があったので、そこに決め、地図を書いてもらった。
大雨の中、カッパを着て3キロほど先だという
「清水荘」を目指して走りだした。
途中でコンビニを見つけ、パンとおにぎりを買うと、コンビニのおばちゃんが、
「雨除けに持っていきな。」
と、新聞紙をたくさん渡してくれた。
新聞紙?????????
(あきらかに、雨除けにはならないだろ…。)
とは思ったが、気持ちがとても嬉しく、ありがたくちょうだいした。
コンビニからすぐの所に、「清水荘」はあった。
着くとそこは、遠くから来てる大工さんや、鳶の人達が使う、日泊まりの下宿所のようだった。
食堂で、下宿所のおじさんおばさんと話をしていると
素泊まりなのに、どんどん食事を運んでくれる。
結局、ご飯、みそ汁、肉じゃが、冷奴、酢の物、天ぷら、スイカを食べさせてもらった。
家庭の味が、心も体もホッとさせてくれる。
共同用のデカイお風呂にゆっくりつかり
0時
幸せ布団で、ゆっくり就寝
「今日はいろんな人と喋ることができた。それだけでいい一日
だったって思える。」
本日の走行距離82km