1998年8月5日

朝、4時半

公園のベンチで目を覚ました。



もうすかっり野宿にも馴れ、公園のベンチで一度も目を覚ます事なく8時間半も寝る事が出来るようになっていた。


顔を洗い、ゆっくりと日記を書いて


6時


公園を出発。



順調に50キロほど走ると、旭川市に入った。


「せっかくだから旭川ラーメンを食べていくか。」


少し早い昼ご飯を食べ、北海道を満喫。








平地を走っていると、遠く~の方で

ちっちゃい何かが動いているのが見える。



「なんだありゃ?」



段々近付いていくと、車が普通に道を走っているだけだった…。




余りにも遠くまで平地が続いていて、数キロ先の車が見えてしまう、


という北海道ならではの景色に驚愕した。





14時

旭川市から20キロほど走った所で、ついに美瑛町に入った。



そこに見える景色は、一面の丘…。


「夢の中みたいだ…。」


あまりに美し過ぎる景色に、一瞬現実を疑った。





「こんな所で働せてもらえるのかな?、もしそうなら幸せだろうな…。」





コバちゃんが、仕事が終わると言っていた時間、17時までまだ3時間あったので、美瑛町内をウロウロと散策する事に。


どこか懐かしい感じのする美瑛の町並みは、時間がゆっくりと流れている。


小汚い格好だったが、町に唯一あったオシャレなカフェでコーヒーを飲み、時間が経つのを待った。






17時になったのでコバちゃんに電話したが、連絡が取れない。


20分おき位に電話をかけてみるものの、やはり出ない…。





19時


辺りが暗くなってきて不安になり、一応寝場所を確保してから電話をすると、やっとつながった。



「美瑛町に着いたよ、今は美瑛駅の近くにいる。」


「おお、スマンスマン、今日はたまたま仕事が長引いちゃってな。


今から迎えに行くよ。10分位で着くから駅で待っててくれ。」






18日ぶりに、知り合いの顔が見れるのが、すごく嬉しかった。






10分後


バイクで来ると思ったが、軽トラで迎えに来てくれた。


宿のトラックを借りて来てくれたらしい。


トラックを降りたコバちゃんは頭にタオルを巻いて、泥だらけのツナギを着ていた。


農作業をしていたのだろう。





「お疲れ。こんな軽装備でよくここまで来たな。

まあ、とりあえず宿に行こうや。」


と、自転車を軽トラの荷台に乗せてくれた。




僕が助手席に乗り込み安堵の表情を浮かべていると


コバちゃんが話し出した。




「俺がいる宿は、1泊1300円の宿。

今は10人位で共同生活をしていて、毎朝それぞれ違う農家さんの所へ働きに出るんだ。

時給700円 1日9時間位

夏の間、仕事はたくさんあるから、働きたいだけ働けるし、もちろん働かなくてもいい。

俺は、3ヶ月位いるつもりだけどお前はどれ位いるつもりだ?。」







「ん〜2・3ヶ月位いたいかなぁ…。」






そうこうしてる内にその宿に着いた。


築20年以上はたっているだろう民家を、少しいじったような建物だ。



宿の名は「ササキファーム」


コバちゃんに連れられ、宿の中に入ると


すぐに大きな部屋があり、大勢の人が座っている。


そして、40歳位のオーナー夫婦と、そこで生活する10人ほどの人達を紹介してくれた。





するといきなり、宿のオーナーであり、農家である「正勝(まさかつ)さん」が



「明日、とりあえずウチの畑で働いてみるか?」


と聞いてくる。


「は、はい、お願いします。」


いきなり仕事が決まった。


「じゃあ朝7時からだ、頼むね〜。」


と言って、オーナー夫妻は自分の家に帰っていった・・・。






目まぐるしく変わって行く自分の状況に


気持ちを追い付かせるのがやっとだったが


少なくとも、僕の心から「孤独感」は消えていた。




少しみんなと喋った後、5人1室の部屋に案内された。


横になると、すぐに眠ってしまった。



「1300kmの旅をとりあえず終えた・・・・。

北海道を楽しもう!」


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1998年8月5日
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