1998年7月28日

福島県の山中で…



予定通り4時に眼を覚まし、まだ暗い中、2人でテントをしまうと

青年が近くにあった自動販売機で、缶コーヒーを2本買って来て、1本を僕にくれる。

少し冷えた体に、温かいコーヒーが身に染みた。



4時半


お礼をいいながら彼を見送り


すがすがしい朝日に照らされながら、僕もさらに北へとペダルを漕いだ。




50キロほど進むと「宮城県」に入った。


県境には「樹景」という看板が立てられている。

そこから見える景色は、まさに「樹景」

そびえ立つ木々が、延々と続いていく…。



山をいくつも越えながら、更に、40キロほど進むと仙台に入った。

仙台の予備知識が一切なかった僕は、予想を遥かに上回る都会具合に、驚きおののいた。



そして、仙台を越えれば、道中で、一番楽しみにしていた場所

日本三景の一つ「松島」があるうえに

ここでは宿をとろうと、前から決めていた為

足どり軽やかに松島へと急いだ。






16時

松島へ到着

早速宿を探すと、すぐに古くて安そうな宿があったので、素泊まりでお願いした。

女性店員さんの愛想は悪く、部屋も古かったが、贅沢は言っていられない。



とりあえず風呂に入り、久しぶりに髭を整え、観光気分で外へ出ると、雨がぱらついている。

ふせめがちの女性店員さんに傘を借り、500メートル程先の松島へと歩く。




到着するとそこには



絶景が待っていた。



海に浮かぶ島々と五大堂


「……………。」


あまりにもの美しさに言葉が出ない…………。



松尾芭蕉が旅に出る時に

「松島の月、まず心にかかりて…」

(以前見た、松島の月をもう一度見たくて…)

と言った気持ちが分かる気がした。





僕は景色に心を奪われ、しばらくの間、傘をさしながら雨の松島を見ていた。



1時間ほど眺めていると、いつしか辺りは真っ暗になっていて、雨足も強くなってきている。



近くの定食屋でご飯を食べ、気持ちよく宿へと帰った。






旅には、人との出会いもあるが、景色との出会いもある。


生まれて初めて


「絶対に、もう一度ここへ来たい。」


そう思った。



22時30分 就寝



本日の走行距離 116.8km


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1998年7月28日
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