1998年8月3日



八戸発 苫小牧行きのフェリーの中で・・・




「間もなく苫小牧港に到着致します。」


低くて暗い声の船内放送で目が覚めた。


時計を見ると朝6時、到着予定時刻まであと30分…。


自身初めての北海道が近づくにつれて、心臓の鼓動が早くなってくる。


船は徐々にスピードを落とし、完全に止まった所で再度到着の放送が入った。


「着いた…。」


袋井を出て16日目、ついに目的地「北海道」に到着した瞬間だった。





自転車と共に下船すると、雨が降っている。


公衆電話で天気予報を聞くと、一日雨だという。


近くにあったコンビニで、雨宿りをしながら考えた結果


「自分へのご褒美だ。」と


今日は近辺で宿を取り、ゆっくり一泊する事に。




カッパを着て走り出すとすぐに、こじんまりした民宿があったのでそこに決めた。


といっても、まだ朝8時



「チェックインは、まだだろうな。」



ダメもとで入って、聞いて見ると、やはりチェックインはお昼から。



しかし、対応してくれた若いアルバイトらしき女の子は、奥に戻って誰かと相談してくると…



「雨にも降られているようですし、よかったらもう大丈夫なのでどうぞ。」


と、4時間早いチェックインを、 O・Kしてくれる。


「え?いいんですか?ありがとうございます。」


部屋の用意をしてくれてる間、ダイニングで座っていると、スタッフの方が濡れた荷物を見て


「ボイラー室で乾かしとくからね〜。」


と荷物や寝袋を持っていってくれる。




さらに、お風呂もわかしてくれたので、ゆっくりとつからせてもらった。



「まだチェックイン前なのに親切な人達だなぁ。」


北海道の第一印象はかなり良いものとなった。


風呂を上がり部屋へ通されると、気が抜けたのか、物凄い眠気に襲われ、夕方まで眠ってしまった。








17時


目を覚ますと小雨になっていたので、歩いて10分ほどの海まで散歩。


「この海の向こうに本州があるのか…。」



(もしかして青森県が見えるかも?)


なんて期待は当然外れ、


5分ほど雰囲気に浸ってから帰宿。


宿ではすでに晩御飯が出来ていて、カレーとサラダをたらふく食べた。


前晩、フェリー乗り場の食堂で食べたカツカレーと違い、家庭の味が妙に嬉しい。





食事を終え、部屋に戻り、袋井のみんなに「到着した。」の報告電話をしていると


袋井で一緒にアパートを借りている次兄から


「俺の友達が、バイクで北海道に行っている。まだしばらく居るそうだから、連絡とってみたらどうだ?。」


との事。


思いがけない事態に、少し希望を膨らませた。




しかも、その友達は昔からよく家に遊びに来ていたので、僕もよく知ってる人物。


名は「コバちゃん」



早速、兄から聞いたコバちゃんの携帯電話にかけてみた。


すると、すぐに繋がり



「お〜、アニキから自転車でこっち向かってるってのは聞いてたよ。

俺、良い宿見つけたから来いよ、仕事もあるぜ。」





「ほんと?今、苫小牧なんだけど、何処に行けばいいの?」




「ん〜結構遠いなぁ。俺がいる所は、美瑛町って所だ、北海道の真ん中、富良野の上。

見渡す限り丘の町で、良い所だぜ。

今、農作業のバイトをしてるんだ、ジャガイモの収穫とかな。

また、美瑛町に着いたら電話くれ。

5時過ぎなら仕事も終わってるし、電話に出れるから。」




と、以外な展開。


電話を切った僕は、大きな希望に胸を膨らませた。




次の目的地が早速決まって良かった。



ビールを飲んで、ぐっすりと寝た。




「北海道までの旅はとてもつらかったが、とても楽しかった。

さあ、次のステージだ!まだ気は抜けない。」



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1998年8月3日
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