1998年7月29日


松島の民宿で…



朝起きて、時計を見ると

9時40分………?


「チェックアウトまで後20分?」

11時間も寝てしまい、急いで支度をして宿を後にした僕は

明るい松島を見たくて、再び松島へ向かった。


昼の松島も本当にキレイで、離れるのが名残惜しかったが、後ろ髪を引かれながら体を北へと向ける。






40キロ程進むと、また山道へ入った。




15時

いくつもの山を越え、疲れもピークに達した頃

山の中に、小さいラーメン屋を見つけたので、店の前に自転車を止め、昼飯をとることに。




店に入ると、おばちゃん1人しかいない…。



チャーシュー麺を注文すると、明るいおばちゃんは、チャーシュー麺を作りながら


「どっから来たの?」

など、いろいろ質問してくる。

会話が進みながら、5分ほどでチャーシュー麺がカウンターに運ばれ、麺をすすり始めると


おばちゃんが


「こっちのお米美味しいよ、食べな。」


と言ってライスを持ってきてくれた。


「え?いいんですか?ありがとうございます。」





その直後、外から60歳位の女性が一人店に入ってきて、更に厨房へと進んでいく。




おばちゃんが挨拶している。


どうも、ラーメン屋の主人の

奥さんのようだ…。




僕は

(おばちゃん、勝手にライス付けたりして怒られないかな?)

と心配していた。




その後、おばちゃんが奥さんに、僕のいきさつを話してくれて

しばらく3人で喋ると、奥さんもすごく気さくな方でホッとした。






チャーシュー麺とライスを食べ終え、席を立つと奥さんが

「ごちそうすっから、代金はいいよ。体に気をつけてがんばりや。」

と、笑いながら言ってくれる。


結局ライスだけでなく、チャーシュー麺まで頂いてしまった…

気持ちがたまらなくうれしい。




深くおじぎをして、ラーメン屋を出た。





旅をしながら、人の優しさに触れ、自分の心もどんどん優しくなっていくのが分かる。








しかし、そんなすがすがしい気持ちとはうらはらに

空には、どんよりした雨雲が近づいている…。



「やばい、早く雨宿り出来る場所を見付けないと…。

こんな山の中で土砂降りにふられちゃたまんないぞ。」



急いで山を登りだしたが、早くも雨がぱらついてくる。




霧がかかり始め、辺りがうす暗くなってきた。



小雨が降る中、ひたすら山を登ると、ラーメン屋から10キロほどの所にやっと建物が見えた。


「定食屋さんか、ちょうどいい。」



お腹は空いていなかったが、雨宿りにお店に入り、コーヒーを一杯頼んだ。


今度は、ちょっとガンコそうなご主人と奥さんが、夫婦で営んでいるようだ。






5分後…


氷のような大雨が降り始めた。


「危なかった…間一発だったな…。」





しかし、雨は30分経ってもやまず…。

(コーヒー1杯で粘るのも、気まずいなぁ。)

と、思い、天ぷら蕎麦を食べた。






しかし、更に30分待っても雨は止む気配を見せない。

僕は、お会計を済ませ、外でカッパを着ようとした。

すると、ご主人が外に出てきて、店の物置ような場所を指差し



「お兄ちゃん、ここでよかったら寝ていきな。」

と言ってくれた。




もう辺りは暗く、山の中で強雨



正直、ものすごく先が不安で、暗雲たちこめ始めていた僕の心は

この一言で一気に晴れていった。




おまけに、物置といってもトタンで囲まれ、雨風は十分

にしのげるし、中は広いし、人目にもつかない

極上の寝場所だ。

喜んで物置を借りる事にした。



ご主人と奥さんは19時頃に店の片付けを終え

自宅へと帰って行った。


なかなか眠れず暇をしながらも22時頃

眠りについた…。




「今日も、人に助けられ生きていられる

ありがたいありがたい。」



本日の走行距離 65・1km


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1998年7月29日
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